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『真人(まっと)むじな』の伝説

むかしむかし・・・・

真人むじなとは、現在の小千谷市真人町若栃地域に伝わるいたずら好きの大むじなの伝説です。

真人むじなは何十匹といたようですが、とにかくいたずらや人を騙すのが好きで若栃の衆は苦労していたそうです。いくつもあるエピソードの中から一つ紹介したいと思います。
「むじな退治の話」
 若栃の南山にむじながいっぱい棲んでいて、むじなどもが作物を荒らしたり、人を化かしたりするので、困り果てた若栃の人たちが村中の男衆を集めてむじな退治をすることになりました。大将を草相撲で大関を張る力自慢の弥六にして、大勢集まり刺股・唐鍬・三本鍬・平鍬・鎌などを持って退治に向かいました。しばらくすると朝飯食ってすぐ出てきたのに、辺りは薄暗くなり日暮時のようになってきました。すると「おーい、おーい」と呼ぶ声がして、弥六の親戚のおじさんが追いかけてきました、そのおじさんが「弥六の家の婆さまが転んで打ちどころが悪く死んでしまった。」と伝えみんながむじな退治を中止して村に戻りだすと、辺りは明るくなり、さっきまでいた弥六の親戚のおじさんも姿を消していました。「こりゃちょっとおかしいぞ。」と弥六が言い、大急ぎで家に戻ると婆さまは家の前で菜っぱを洗っていてピンピンしていました。それを見た村の衆は「またむじなにだまされた。」とたいそう悔しがりましたが、もう一度退治に向かう気も失せて家に戻ってしまったそうです。
こんなことが続いたため、代官所へむじな退治をお願いすることになったそうです。

「逃げた真人むじな」
 前段でお話しした通り、小千谷の代官所へむじな退治をお願いしたところ、願いを聞き入れてくれて、むじな退治の大作戦をやることになりました。 そこで、南山のむじなの穴を掘っていくと、大きな石や小さな石がゴロゴロ出てきました。
石は下の道に転げ落し掘り進んでいくと、「若栃の村中が火事だ!」と叫ぶ声がして振返ると村のある方角から、煙が上がり空いっぱいに広がっていました。こりゃ大変と村の衆、役人衆が村に戻ると何ともなく煙も上がっていませんでした。「またむじなに化かされた!」とすぐにむじなの穴に戻ると、退治に使う道具が無くなり、大小の石ころも消えていました。どうやら、大小の石ころはむじなが化けていたようで、まんまと穴の奥に逃げられていました。 そこで、煙でいぶりだそうと杉の青葉を燃やしてもうもうとした煙を穴の中に送り込みました。いつむじなが出てくるかと待ち構えてましたがむじなどころか、煙も他の穴から出てきません。一時間以上煙を送り込むと秋晴れの日本海に霞んで見える佐渡の金北山から煙がモクモクと上がっていました。真人のむじなどもは佐渡まで穴を掘って逃げてしまったと言われていて、この真人むじなの親分が佐渡の団三郎むじなになったと言われています。

※参考文献 小千谷の伝説 五十嵐秀太郎著 恒文社
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